共有③

言うまでもなくマンションは個人生活の集合体で
その共有財産は居住者の考えの集合体となります
前回に書きましたが、多くの過程を経て修繕を
実施し、結果共用部がきれいになった。共用設備
が新しくなった。生活がしやすくなった等の利益
の共有が可能となります。総有財産は同等に使用
できる様にしなければならないと書きましたが、
共有財産は「相対的平等」が求められます。それ
は持分だけでなく、コミュニティに参加する事で
建物設備への要望も積極的に反映させる事が可能
です。又行使書面に賛成〇を記入するだけの方は
相対的平等な管理費等を支払っていても、要望が
反映されない平等となり、「意見を言いすぎて嫌
われるのが嫌だ」という方の要望はまた平等に反
映されます。私は初めて各物件を見たときに、
このご時世に防犯カメラが1台もないマンション
エントランスが昼間から薄暗いマンションに、
「ここは不審者被害がなかったのかな?」
「雰囲気より電気代節約を選んだのか」という、
人との対面と同じで、第1印象を数年たっても覚え
ています。 マンションの共有財産とは、
修繕・維持管理・経歴とそれを決めるコミュニテ
ィそのものが反映し続けるものなのです。
意見が出ないマンションはどうなるのか?運営・
修繕工事においては管理会社の思いのまま、工事
業者の思いのままとなって、悪い表現をすると、
合有財産(資金)も思いのまま使われ続けます。
これが修繕積立金のない竣工30年以上の物件増加
の一因となっています。総会・理事会・説明会・
委員会等、コミュニティが開催されるか否かで、
主導権が住人になるのか業者になるのかが決まり
コミュニティにおいて多数の賛同を得るか否かで
方針が決まります。前回最後に、「劣化するもの
に出資する事へ住人はどのように考えておられる
のでしょうか?」についてですが、管理費等値上
に対して「常識的な対応」をとり、又修繕工事を
日常的事項として捉えているだけでは有効な共有
財産形成にはなりません。共有物・マンションは
民主的な平等・その考えが反映された運用がされ
なければ、貯めたお金も直した建物も、その合有
・共有財産としての意味を失うものなのです。

長野県マンション管理士会  玉木 憲