共有財産(建物等)の維持管理は先述の合有財産で
実施されるのですが時間経過と共にそれらは劣化し
財産価値も目減りします。
ところで耐用年数は設備15年・コンクリ建物47年
(住居)です。古くなる建物・設備に支払う維持管
理費が年々高額となるのは止むを得ない事であり、
経年劣化への対応は納得済です。例えば竣工10年
の物件で管理費等を値上げしていない管理組合は稀
です。これは経年劣化に対して合意・納得して支出
されるのですが、分譲購入された専有部分外である
共用部としての合有財産を維持管理する意味。
目減りする財産価値に支払う管理費等を値上げして
まで修繕を実施する事に、居住者の方はどのように
考えておられるのでしょうか?
管理費等を値上げしなければならない原因とは
1)現状の管理費等が安すぎる
2)当初の設定・計画以上に経費がかかる
またその両方といったところでしょうか。
私の担当で現在4物件にて管理費等の値上げを
提案させて頂いています。何れも1)に当ては
まります。全国平均・建物規模・戸数規模・竣
工年・近隣参考価額と比べても低価額なのです
これらの資料等(㎡当の平均金額各種)を理事
会・総会・工事説明会で配布して、更に、修繕
計画を作成し直してのキャンペーンをはじめて
修繕箇所・内容・計画修繕の提案・開始から、
4年程になりますが、ほとんどの物件において
劣化の修繕実施・計画に必要な値上げについて
は「常識的な対応」として捉えられてます。
私はこれらを進める中、当たり前すぎるとして
失笑をかうかもしれませんが、解った事が1つ
あります。物件によって反応が違うのです。
修繕・値上げ・計画が必要であるとの合意は全
ての物件でとれました。ベースは一緒ですが、
10年超の計画から値上げを必要と考える方
30年計画の必要性が理解できない方
直近10年内の計画が必須と主張する方 等
修繕計画だけでも様々な要望が出されました。
・現役世代と引退された世代の違い
・いつまでそこに居住するかでの違い
・最小限の修繕か、一定のレベルまでの修繕か
等々、理事会で主流となる要望が違うのです。
理事会で出された意見に基づいて計画を作成し
今後総会・修繕説明会で提案し工事が実施され
修繕が完了します。外形は今迄と同じ修繕後の
マンション建築物ですが、方針・計画等、各々
の意思が反映された違った物となり、今後更に
修繕を繰り返せば違いは顕著になるでしょう。
外形も個性を持ち始めるかもしれません。
次回に続く
長野県マンション管理士会 玉木 憲