長野市のマンション、劣化し壁崩落…そうした危険な状態にならないために
管理に長野県で初の「お墨付き」

県内で初めて管理計画認定を受けた長野市権堂町の「ローヤルシティ長野」=1日
■国の制度、認定受ける
長野市内のマンションが5月、県内で初めて「マンション管理計画認定制度」に基づく認定を受けたことが分かった。マンションは適切な修繕がなされないと劣化して資産価値が下がり、外壁などが崩落すれば周辺に危険が及ぶ。管理計画認定制度は、適切に維持管理されているマンションに自治体が“お墨付き”を与える仕組み。専門家からは認定の動きが広がるのを期待する声が出ている。
廃虚状態になったり、管理組合の担い手がいなくなったりするマンションが全国で問題化しているため、国は法改正し2022年に管理計画認定制度を導入した。維持管理が適切になされることで、空室が出ても新たな入居者が安心して購入しやすくなる。
■11階建てのマンション「大事に住み継ぎたい」
認定を受けたのは、同市権堂町の「ローヤルシティ長野」(50戸)。08年築の地上11階の分譲マンションで、区分所有者でつくる管理組合からの申請を受けて市が認定した。長期的な修繕計画が適切にあることや、組合の集会を年1回以上開いていることなど、国の認定基準に沿った16項目を満たした。
ローヤルシティ長野の管理組合は、26年にも外壁の補修やベランダの防水工事などの大規模修繕を行う予定。工事に備え昨年7月の総会で、各区分所有者が月々支払う修繕積立金を、専有部分1平方メートル当たり180円から334円に値上げすることを決めた。武田幸博理事長(62)は「大事に住み継いでいこうと住人で話し合いを重ねてきた。認定が資産価値の向上につながればいい」と話す。
■専門家、波及に期待
長野市住宅課によると、市内には現在マンションが約190棟ある。市は23年10月、認定を行う前提となる「市マンション管理適正化推進計画」を定めた。県内19市に取材すると、現時点で推進計画があるのは長野、松本、須坂の3市で、今回の1件を除き認定事例はまだない。町村にある物件向けには県が適正化推進計画を策定しているが、県によると認定事例はない。
県マンション管理士会の湯本謙弥代表理事(49)=北佐久郡軽井沢町=は「(管理計画認定は)住人がより主体的に管理組合の運営に関わるきっかけになる。波及していくといい」と話している。
[マンション管理計画認定制度]
改正マンション管理適正化法に基づき、管理・修繕に関する基準を満たしたマンションを地方自治体が認定する仕組み。管理状況を外部から見えやすくし、中古物件の流通を活性化する狙いもある。申請には、管理組合の総会の決議が必要。申請前に、マンション管理士らによる確認を受ける必要がある。認定は5年ごとに更新する。国土交通省によると、3月末時点で全国の認定件数は2100件超。認定を受けると、融資の金利引き下げや、大規模修繕工事後に固定資産税の減額などの優遇措置を受けられる。
【元記事】
2025年6月2日 信濃毎日新聞デジタル
長野市のマンション、劣化し壁崩落…そうした危険な状態にならないために 管理に長野県で初の「お墨付き」|信濃毎日新聞デジタル 信州・長野県のニュースサイト
【参考】管理計画認定マンション閲覧サイト
(公財)マンション管理センターホームページより
管理計画認定マンション一覧
【参考】管理計画認定制度(国土交通省)
住宅:管理計画認定制度 – 国土交通省