管理不全とは③

前述中の、⑧⑨⑩は管理組合日常運営への無関心です。
会合等への無関心はほとんどの物件でみられるのではな
いでしょうか。出席率は90%、当日出席者は役員+3~
5人で多数が委任状と議決権行使というのが多いのでは
ないかと。しかしこれらは、居住者自らが選んだ無関心
つまり特定時間に特定場所での集会を知りながら不参加
とする。意識的な不作為・不参加・無関心なのです。
私が真に問題としたいのは、各住人が意識していない・
わからない状況での無関心・不参加なのですが、例えば
先日行政主催の無料相談会開催の掲示物を掲示板に掲示
をお願いした際、理事の方から「マンションの問題で、
わざわざ何の相談にくる人がいるんですか?」と言われ
ました。この物件は竣工24年で修繕工事を一回も実施
していない・修繕積立金が一住戸当平均¥3,500円であ
り、剰余金¥5,000万ですがとても足りません。居住者
も高齢化が進み、値上げが困難です。所謂(2つの老い
)は確実に進行している物件です。竣工業者や地場企業
では高すぎて工事ができません。計画修繕をしたいので
すが、現在はやむを得ずその都度修繕で対応という形で
す。居住している物件の危機を理解しておられない為、
マンション相談があるのかと問われる。個の範囲におい
てはこれ管理不全ではないですか?如何でしょうか?
修繕工事実施について進める段階で感じるのは、私は今
までの経験から【屋上防水・外壁修繕】を優先的に実施
すべきと考えます。しかし居住者が希望するのは【LED
化・廊下とバルコニーのクラック補修・鉄部塗装】です
特に他人へ貸し出す区分所有者は見た目重視の修繕優先
で希望されます。しかし建物内への雨等の浸水漏水対策
そして20年経過後には床下や壁内の上下水道の更新が最
優先で実施されるべきです。もし無計画に優先順位を考
慮しないまま工事を決議実施した場合は建物劣化を早め
て管理不全となります。そしてそれら計画が立案された
状況下でも、資料に関心もなく同調賛成・決議された議
案・工事計画・管理費等の値上などは居住者の意思のな
い決議となり、例えば管理業者主導の決議となります。
これも私が関わった物件で竣工32年で修繕積立剰余金が
¥300万円しかなく、全体での修繕経験がない・部分修繕
の連続で対応してきた所がありましたが、直近の塗装工
事金額を見ると面積から計算して¥20万円で済む作業を
¥70万円の支払いがされてました。総会決議はされてお
り、違法ではありません。居住者は理事長の住戸のみ、
あとは賃借人という40戸の物件です。このような総会決
議が繰り返されて数十年が経過してしまったのではない
かと思われます。業者による作為的な決議は管理組合の
無関心が引き起こす管理不全の大きな原因の一つと言え
ます。居住者の方々は配布された総会の決算書を見た事
があるでしょうか?ほとんどの方は見ていません。工事
はどのような内容で金額はいくらでしょうか?点検清掃
は年額いくらでしょうか?知らない間に管理組合の貯金
が減っていないでしょうか?

(一社)長野県マンション管理士会  玉木 憲