管理不全とは②

(部分的な不全)
①適正な修繕が実施されていない
 例)竣工15年で屋上防水・外壁修繕をしてないなど
②修繕計画がない
③管理費等が異常に安い(値上げした事がない)
④各剰余金が少ない
⑤役員のなりてなし
⑥剰余金は潤沢にあるが使用してない
⑦規約改訂が一度もなし
⑧理事会はあるが実施されていない
⑨総会での出席者が少ない
⑩意見・問題定義が挙がらない

以上、私が今まで関わらせていただいた物件から諸問題
について挙げさせていただきました。これら既存の物件
で竣工12年から28年の中から抜粋したのです。もちろん
管理会社と契約をしている為、点検・清掃等は定期的に
実施しており、管理員も常駐。担当者は定期的に巡回し
理事会・総会は機能しています。しかし部分的な不全は
ある(あった)といえます。
①②前の管理会社から引き継いだとある物件では竣工18
年で外壁修繕は実施してましたが屋上防水は実施がなく
天井からの雨漏りが数回発生。積立金は十分にあったに
もかかわらず、又、計画では12年実施となっていました
そもそも修繕計画の設定工事金額が全くあやふやで根拠
もなく、住人の誰もが信用もあてにもしていなかった。
③2018年データで修繕積立金平均額は¥161円(㎡当)
¥10,392円(1住戸当)となっていますが、すべての物
件においてそれよりも少額。中にはデータの3分の1の
物件もあり、未だ値上げが実施できずにいる所もある。
④計画的修繕工事を毎年実施して支出があるが、それで
も災害対策として¥1,500から2,000万円の剰余金は確保
するという総会決議で運用している。
⑤前から幾度か書いてきましたが、対策として複数年で
の就任をお願いして解決した物件があります。その前は
輪番制で名前だけ借りるという理事会もありました。
⑥竣工30年・積立金剰余金額1億2千万円で外壁1面のみ
1回だけ修繕実施したという物件があります。事後対策
というスタンスなのか、決議不可なのか未だ不明です。
⑦全面改訂は全物件で実施していません。これまで、民
泊禁止・役員資格や定員数等で部分改正は総会決議して
きました。そして、全面改訂にむけて全文の作成は全物
件分完成していて、理事会でも3年前から提案提出してお
り、あとは総会議案として挙げて決議されるだけです。
しかしその先が決まらない。端的に言うと、規約改訂の
作業は実施されている・理事会は良いと言っている・し
かし誰もが重要と考えていない・内容を確認しない・
意見等がない・これで総会決議してよろしいのでしょう
か?これは⑧⑨⑩につながるのです。

(一社)長野県マンション管理士会  玉木 憲