管理不全とは

【管理不全】とは、マンションの管理全うされずとの事
ですが、この状況下にある物件とはどのような事になっ
ているのでしょうか?不動産に限らず、物を管理するの
は、それを完璧・且つ継続していくのは困難な作業です
管理がなされていると思われている物件でも、角度を変
えて見ればおろそかになっている部分があり、表面上何
も問題ないとされていても、会計は大赤字で大変な状況
ということもあります。私の管理させて頂いた物件から
例を挙げるなら、現在のマンション市場から考えて特異
な物件と部分的な不全である物件とに分けられます。
(特異な物件)
①1980年代竣工から前の物件に多い
②計画(修繕・管理会計問わず)がない
③管理費等が異常に安い・もしくは設定がなし
④修繕工事が一度も実施されてない
⑤日常清掃・点検・警報システムがなされていない
 もしくは一切実施・稼動していない
⑥上下水道等インフラ全般においてなにもされていない
 日常清掃も設備点検もなし
⑦住人名簿等なし・誰も各住戸に誰が住んでいるか把握
 していない
⑧管理者・総会・決算・それらにまつわる資料がない

要するに、現在竣工するマンションは管理会社がいて、
管理費等は毎月支払うのが、又、規約と計画があるのが
当たり前で、自治体によっては条例で義務づけられてい
ますが、それら管理が全く(不)ないという物件です。
詳細は後の項にて書きますが、私の関わっている物件で
規約は6ページで印刷屋さんが作成。修繕積立金が設定
されていない。管理費は一住戸当月額¥3,000円と設定さ
れていて、その金額の根拠も不明である所があります。
これだけで、マンション管理に関わった事のある方が読
めばいかに【特異】であるかご理解いただけるでしょう
計画は作成の発想すらなかったのではないでしょうか。
竣工38年。現在修繕工事どころか日常清掃すらなし。点
検作業もなしです。以前に何回か書かせていただきまし
たが、不具合発生で修理が必要となると各住戸へお知ら
せをして按分してその都度支払う事になっています。現
在の居住者はこれが普通・分譲時からこの状況であれば
最初からの区分所有者も不思議に考えません。そのまま
40年が経過してしまった。現状無事に住めればよい。運
営されていればよい。と。しかしこの感覚は特異なもの
でしょうか?分譲時に専門家や業者からの説明がなく、
分譲マンションの所有(区分所有ということ)について
の一般的な知識がないまま所有者・運用側となったから
「知らなかったから」「わからなかったから」【特異】
な状況に陥ったのでしょうか?
次に挙げたいのは(部分的な不全)ですが、まあ現在の
管理会社と契約している物件とお考え下さい。

(一社)長野県マンション管理士会  玉木 憲