理事会③

居住者皆様の貴重な時間を費やしてしまう理事会ですが
前述のように、その存在は区分法条文にはありません。
管理組合で使用される規約にのみ記述されているのです
標準管理規約には選択して使用できるような条文がいく
つか挙げられています。例えば電子的な総会決議を規約
で承認する・しない場合等、状況に応じてどちらかを
使用してください。いらないものは削除してくださいと
いうものがあります。規約において理事会とは削除可能
なものではないでしょうか?つまり状況によってはない
・なくせるものであるとの前提で設けられているものだ
と思います。私が今関わっている20戸のマンションでは
竣工40年で理事会・総会が開かれたことが最初の数回し
かありません。管理者役の方が亡くなられてどうすれば
よいかわからなくなって、居住者の一人がご相談にこら
れたのです。1983年に竣工・規約はありますが改定等は
全くされておらず修繕履歴なし・計画も修繕積立金自体
がありません。実はこのような管理不全マンションは今
増えているのです。正確に言うと、判明してきたのです
管理不全に必要なのは先ず、組合運営です。これは形も
そうですが、居住者が組合員であるとの気持ちがなけれ
ば共用部の運営の為、お金を出すとか、清掃をするとか
いう計画・概念が生まれないのです。この物件では大半
の所有者は賃貸借契約をしており6名の所有者の連絡先が
不明の状況で、常に在住する全員への連絡同意が必要と
なる為、ここで理事会という概念は必要ありません。
これを説明すると、例えば規約は38年前の物でそのまま
修繕積立金は竣工当初からなし(設定がされていない)
区分所有者の中には「役員を決めて方針を決めて下さい
私らは従います」とのご意見を言われる方がいますが、
この現状で決められますか?設備に不具合が発生したら
お金を全員から折半で徴収するのですが、いきなり役員
で決めて支出をお願いできません。全員に状況説明して
からでないといきなりの支出は困るでしょう。諸事全て
予測しての貯金があればあとは使途を決める・報告する
事で事態は終了することができるのです。そしてこれら
は、規約のような(きまり)があるからこそ実行できる
のであり、なければ居住者の誰かが遠隔地にいる所有者
に連絡をしなければならず、それは(おせっかい)とさ
れかねません。これらは緊急事態とはいうものの、日常
での負担です。しかし2か月に一回の理事会・緊急連絡
がない時も集まる役割と比してどちらが負担なのでしょ
うか?使わないかもしれないお金を毎月集金して貯金す
る積立金・不具合が生じたときだけ集金する形とどちら
がいいでしょうか?理事会と積立金のようなシステムは
通常マンション管理組合には常識的にありますが、居住
者が納得していれば不要なのではないでしょうか?

長野県マンション管理士会  玉木 憲