機械式駐車場④

前項2回にて大雑把に2パターンに分けて書かせて頂き
ましたが何れも居住者の方々の一定需要があり、その
存在は必須のものであるのです。間違いありません。
しかし運用を一歩間違えると、どこから切り取っても
高額な費用が掛かるために需要を超えた厄介な存在に
なりかねません。まず先述したなかで、駐車場会計が
管理費会計となっている管理組合が殆どである点。国土
交通省は別会計とすることを推奨していますがこれには
私も同意見です。実際やってみて、駐車場契約者という
のは全住戸の居住者ではありません。管理費会計に駐車
場収入があるということは、その収入で共用部光熱費を
支払っているということとなります。駐車場保守費用に
まわすべき費用が日常支出に使用され、機械が不具合と
なったときは修繕積立金で賄う。今度は逆に、駐車区画
未使用者のお金が駐車場に使用されることとなります。
収入の範囲内で運用をするのがスジでしょう。わかりや
すくするためにも独立会計は是非実施すべきでしょう。
所有形態では、【こわれる】ことを前提とした修理費用
を計上する事・そもそも機械式駐車場修理は高額である
との認識を早めに、常識として注意喚起すべきでしょう
ここ10から15年間で激変したのは自家用車の保有数・近
隣の駐車場状況・所有車輛の大型化(これによって契約
できない機械式駐車区画がある)等々があげられますが
マンション竣工時にこの様な近未来を予想することは、
ほぼ不可能でしょう。予想できるのは駐車区画満杯とし
て(仮定して)どれだけ機械不具合等に対応可能な予算
が計上できるかというシミュレーションのみです。
リース契約はその点定額費用イコール満杯契約での想定
とされていますからわかりやすいのです。15年契約とい
う予想ができない長期間で設定する定額制に無理がある
のです。最初の項で書きましたが私は機械式駐車場廃止
論者ですが、その理由は高額費用が必須である点はいう
までもなく、さらに事故発生リスクがある点があります
あのような大型機械が生活空間にある事に違和感を感じ
るのは私だけでしょうか?地下空間は5m以上の深さで
広大な暗部があります。平置き駐車場に比べると、車両
を置くのではなくパレットの溝にタイヤをはめる作業で
駐車ではなく車輛を仕舞う感覚です。所有物保持のため
に色々な工夫と不便さに折り合いをつける行為に違和感
を感じるのです。
様々なネガティブ思考で意見を挙げてきましたが、都心
部の土地が限られた立地は言うまでもなく、再開発によ
る急激な建設工事で駐車場が減少している場所、特に駅
が(地下鉄含む)少ない地方都市中心部では自家用車が
必須で駐車場確保に機械式に頼るほかありません。又、
【マンションインフラ】項で書きましたが、EV(電気
自動車)普及で車両保有台数減少がかわる可能性があり
ます。家電のような自動車が¥50万円以下で小型なアシ
として充電機器設備とともに普及すれば状況は変化する
でしょう。私のいち個人的な廃止論は近い将来撤回を余
儀なくされるかもしれません。
機械式駐車場には、定期的なメンテナンスと運用計画の
見直しが必要となります。日常使用も運用維持保守する
のも居住者であり、居住者がより慎重な意識を持つこと
で生活に有効で合理的な設備となるのです。
お宅のマンションにはそれでも必要でしょうか?
考えていただくきっかけになれたら幸いです。
 

長野県マンション管理士会  玉木 憲