マンション修繕工事④

修繕工事の合意は様々な大きな決断を伴います。
多額の修繕積立金の支出・生活する建物の工事仕様の
変更更新・共有財産の変更を実施するのです。内容の
把握なく合意をしてきた今までの総会等は意味があっ
たのでしょうか?例えば、修繕工事の結果に疑問が生
じて訴訟提議しても多数決で合意されていれば却下で
す。そもそも誰を訴えるのでしょうか?悪いのは管理
組合(居住者)ということになるのですが、修繕工事
を経験された物件の方々に聞くとそればかりとは言え
ないのです。工事に先立って説明会が実施されますが
それまでの居住者の感想を以下内容にて
①説明会に行くと建設会社の人が5人程いて圧倒された
②説明資料がすべて専門用語が多くてわからない
③質問する雰囲気でなかった
④仮設足場とか材料名を言われても意味が分からない
⑤すべてまかせていた
これらはほんの一部ですがとても参考になりましたの
で、これらを解消する方法で説明会を実施しました。
①工事実施する企業の代表1名が説明・質問応答する
②私自身が業者に聞きながらわかる用語と説明が困難
なものは写真で資料にして説明会で説明してもらう
③事前に私が業者に質問していたことを再度説明会で
聞く。専門用語なしで聞く。
④写真とイラスト・他工事で使用した例を挙げて資料
にのせておく。
工事終了後の説明会でも同じように資料・会合内容を
実施し、報告書もなるべく理事会の要望に応えるべく
作成しました。外壁のクラック等を平面図に書き込ま
れているものを、各住戸のバルコニー別に・数量種類
位置のマーキングされた図面を拡大して各住戸別に配
布してくれとの要望には、業者様に大変な負担を強い
て、又私が数量を間違えた表を作成してご迷惑もおか
けしましたが、全体のデータ自体を改ざんしたわけで
はないとのご理解を得られ、一定の評価はいただけた
のではないでしょうか。
修繕工事は大規模で、専門家でなければ、関わる仕事
に就いている方でなければ踏み込めない範囲がありま
す。「理解できなかったからわかりやすくもう一度、
説明・解説してほしい」と言う権利が区分所有者には
あるのです。できるかぎり踏み込んでもいいのではな
いでしょうか。又⑤についてですが、とある物件にて
工事報告会で「建設会社なしでほんとにできるんです
ね」と言われたことがありました。すべてを合意する
事は難しいということです。
尚、4物件の工事全てにおいて以下内容としました。
①ゼネコンに依頼しない
②足場を使用しない
③複数年で計画修繕とする
④1回の工事は1か月内で実施する
賛否両論・長所短所ありですが、後日まとまったら書
きたいと思います。

長野県マンション管理士会  玉木 憲