管理不全とは④

以前【機械式駐車場】の項で書きましたが、とある物件
では、機械式駐車場のメンテナンス費用年間¥160万円
が管理費会計から引かれていました。駐車場収入が年間
¥400万円あり、管理費会計に収入として入っていたの
でその差額は管理費用として支出されていました。15年
経って劣化で改修が必要となりましたが修繕積立金は、
建物修繕に必要で駐車場に回せない。そもそも駐車場の
使用料(使用者の支出)で修繕すべきとなって駐車場会
計を独立し、修繕計画を立てたという事がありました。
駐車場区画がどこになるのかは居住者の日常の関心事で
すが、会計上の収支は日常ではないのが普通となってい
ます。駐車場会議と総会決議ではじめて内容を理解して
いただけたという象徴的な例です。近隣の物件でも、同
じく機械式駐車場があり、やはり管理費会計に組みこま
れていて、しかも駐車場料金は上記物件の10分の1で
す。その近隣物件の方々、おそらく理解されてません。
近く機械式駐車場という部分的な管理不全が発生します。
近年業界内で語られる【管理不全】とは、先述した【特
異な物件】の事であり、じわじわと判明してきた・わか
ってきたということだと思います。しかしながら、大手
管理会社による管理物件においても部分不全があり、運
営に関心の高い自主管理物件においても不全が生じる。
管理不全の芽は日常に潜んでいる。生活習慣病予備軍と
か、肥満が糖尿病前兆であるとか、どの世界・業種にお
いても同じということでしょうか。意識していなければ
誰も感じていなければ不全ではないというのが継続され
てきた状況に問題があったのではないでしょうか。この
後書く予定ですが、20年ぶりに5月30日に定期総会をす
る物件があります。完全な【特異な物件】【管理不全】
です。様々な角度から可能性を探りましたが、現在の
ところ、規約改訂もできません。資金がないので修繕も
できません。すこし大きく考えると、周辺住居と一体と
なった都市計画的な中で再開発してもらって立て替えて
いく。あるいは、他の不全物件と併せて売却価額内で、
その権利内で集合住居を建てる。もしくは、災害で避難
する一時的な住戸を全国的な【管理不全】対応として、
計画建設して移住促進する。いずれにしても、国・地方
行政が関わらなければ解決は不可能と思われます。その
問題定義の一角とならんことを願って次項に移ります。

(一社)長野県マンション管理士会  玉木 憲