機械式駐車場②

①所有型
竣工時からエレベーター等と同じ共用設備としてあり、
メンテナンス費用のみ管理費会計の支出課目にある。
私の担当物件では80区画程度の4段横行式で、年間4回の
点検で¥130万円の費用が計上されています。地方都市
の駅近隣の立地なので居住者が支払う駐車場料金はそれ
なりに高額ですが、周辺の時間貸・月極駐車場と比べる
と半額程度に設定されており、15年間継続運用されてき
ました。5年前から居住者の意見が発端で【償却期限15
年・使用期限20年】との事から、又、10年間ほとんど
問題のなかった設備が少しずつ劣化で使用不可の区画が
出てくる等不具合が発生しはじめた為、【駐車場会議】
が度々開催され、総会等でも話し合いと現状報告がされ
足掛け6年経過で今後の対応が決定しました。この間、
機械式駐車場廃止で平置き化工事・近隣駐車場の組合で
の借り上げ等様々なケースで、又修繕工事や解体工事の
見積をとり、シミュレーションを実施して最善の方法を
探りました。それらの模索はすべてあまりにも支出が多
い・収入に比して金がかかりすぎる事が理由でなされた
のです。不具合の原因・改善すべき劣化箇所はチェーン
と電子制御部分が主なのですが、今後10年間使用できる
ような修繕見積額が¥7,000万円・部分修繕で¥4,000万
円・点検費が前述した¥130万円(年間)。それに対し
駐車場収入は過去全盛期から落ち込んでいて年間¥400
万円でしたが、これらはすべて管理費会計に組み入れら
れており、管理費会計として使用されて積立されてない
為、駐車場修繕は修繕積立金を使用するしかありません
修繕積立金は居住者全員が支払いますが、敷地内機械式
駐車場は全員が使用しているわけではありません。修繕
費支出では駐車場未使用者も修繕費負担となります。そ
こで上記解体工事平置き化案がでたのですが、同時に代
換駐車場の確保と移動案が必要となり、そもそも居住者
の要望はどうなのか?ということでアンケートを実施し
ました。結果は【現状維持】つまり現状の機械式駐車場
でよいとの回答が9割でした。運用費用が会計を圧迫し
劣化での危険性を説明してきたにもかかわらず【現状維
持】。ここでまず駐車場会計を独立して年間収入の範囲
でメンテと部分修繕工事を継続して長期実施する案を、
業者様と何度も話し合ったうえで捻出し、理事会にて決
議しました。周辺駐車場の価額と空きの調査・リース形
態での見積・メンテ専門業者の探索と見積も順次実施し
てきましたが、今後も駐車区画の調整や契約区画の移動
をお願いする等作業はまだまだ残されています。直近で
の数年間に実施されてきた作業量・支出された費用・今
後必要となる費用を考えるととても合理的とは言えませ
ん。しかしそれを上回る居住者の需要がある限り、この
物件における機械式駐車場は【現状維持】なのです。
私にとって、機械式駐車場は【怪物】にしか思えません
今後も覚悟を決めて対峙していかなければならない。
管理組合の皆さんもご覚悟のほどお願いいたします。

次回に続く 

長野県マンション管理士会  玉木 憲