インフラについて④

EV充電器の設置・一括受電契約設定・テレビの設備
更新には決議と組合支出が伴います。そしてタイミン
グが難しい・反対者の意見を抑え込む事になりかねな
い等問題が生じます。これは民主主義の問題点であり
私などがいまさら論じることではありません。しかし
劣化や不具合を修繕する決議に賛成させられる事と、
専有部の生活形態にかかわる契約等に賛成させられる
事ではわけが違います。
区分所有法30条には【規約を定めるには利害の衡平が
図られるように定めなければならない】又、ある物件
の規約には【問題住戸の周囲5件が同意した場合は、
その住戸はペットを飼育できない】との一文があり、
これなどは条文というよりは解除条件付?催告の様な
文言ですが、利害衡平を部分住戸に狭め適用する合理
的なものだと思います。
先に挙げてきたインフラ等は、社会的劣化の側面が大
きく、機能的劣化も含みますが、生命財産と生活が著
しく脅かされるものではありません。外壁タイル剥落
や防水機能劣化による漏水被害もありません。
不便・趣向性の我慢が要されるものに、多数決論理は
なじまないのではないでしょうか。個人生活に牽連す
るインフラについては全員合意もしくは、決議要件か
ら外したらどうでしょうか。では問題解決は如何にす
るか。電気自由化で個人での自由契約は良い見本です
たとえ安価となっても、決議で一括契約にして拘束す
るのには慎重にすべきです。光回線の各住戸への延長
工事・4K対応についての趣向や、生活インフラへの
選択はいつでも個人で決定できるようにする事は共同
住宅だからこそ忘れてはならないのでしょう。
最後に、訴訟提議には当事者にしかわからない諸事情
があります。先の一括受電についての数件の判例は、
間違いなくマンション生活への問題定義・将来への進
歩をもたらしたと思います。マンション管理業を生業
とする末端の者の一人として、関係者の方々へ心より
感謝申し上げます。

長野県マンション管理士会  玉木 憲