合有④

不具合のたびに修繕費用を支払う形態の場合には、
修繕工事を実施し、工事請負業者から請求書が届き
持ち分で割って各居住者が支払いますから、基本的
にはそこに計画修繕はなく、不具合対応のみです。
各自支払い後は修繕箇所に共用持ち分が発生すると
いう形でしょうか。事前見積もりにて話し合い、後
支払う場合でも同様でしょう。
①にて書きましたが、管理費等は一度管理組合口座
に振り込まれると払い戻しはできません。合有財産
なるということです。しかしそこには潜在的持ち分
があります。払った分だけ物が言えるのです。毎月
の事前徴収・計画修繕の意義はここにあります。
工事実施までの間にどこを修繕するか・事前点検す
るか否か・それらの実施スパンをいかにするかを決
める事ができる。意見する権利を行使できる。支払
うかわりに「権利を留保」できるということです。
管理費・修繕積立金の毎月徴収は、現在必然事項と
なっており、都市によっては条例で決められてます
が、この「権利の留保」を理解されている住人の方
は少ないのではないでしょうか。管理費等の価額は
絶対な価額ではありません。合有財産形成には、正
しい保存・管理が必要です。そのためには「払った
分だけ意見する」ことが必要です。
1企業が作成した計画・決算内容等を見直す
2計画を作成する話合いをする
3計画に基づいた管理費等を設定する
再度これらを実施してみたらいかがでしょうか?
総会で決議された合有財産は、今あるものとは全く
違った内容・価額になるかもしれません。ほとんど
同じであったらこれは合意されたものとして維持で
きます。前項にて書きました「毎月徴収してるのに
足りない」積立金とは「こんなはずではなかった」
という合有財産ではないですか?企業が最初に設定
したものは合理的・企業的な方法により設定されて
いて、使用する立場で考えられておりません。それ
らを長期にわたって信用する・放っておく管理組合
の自己責任については当然問われるべきでしょう。

次回は 共有
長野県マンション管理士会  玉木 憲