合有 

初稿での合有の定義から、マンションでの合有
財産というと、建物・敷地があてはまります。
前回書いた駐車場と違って【各持ち分に応じて
全部を使用できる】と決められております。
これは潜在的な持ち分と考えられますが、分譲
(所有部部)を売却すると共用部・敷地持ち分
も一緒に手放せるのですが、(つまり共有とい
うこと)便宜上・区分所有法にあるマンション
特有の決まりですので、合有財産として扱われ
るべきでしょう。
そしてそれらの維持管理に使われる管理費等は
引き落とされて組合口座に入ると払い戻しはで
きません。居住者の組合に対する債権と相殺も
できないとの判例も有ります。先日不動産業者
様から「503号室の修繕積立金はいくら残っ
ているのですか?」との質問を頂きました。
居住者様の積立金ではなく管理組合の積立金な
のですが意外とそういう方がおられます。
合有財産であれば目的達成か、団体から脱退す
ると返還されるものもありますが、マンション
ではそれもありません。管理費は建物と設備等
を維持管理するために支出し、修繕積立金は計
画修繕で支出されます。つまり居住者が支払う
管理費等は建物等に吸収されて経年劣化ととも
に消費されていくものなのです。
払戻されないもの・設備費に使用される・とは
前述した【総有財産】的性格ですが、それに対
して区分所有者はどう思われているのでしょう
か? 屋上は最上階住戸の天井部分でもあり、
外壁は角部屋の壁であり、水道管はつながって
います。しかし専有部分は各自で修理できます
が、共用部分として区画された場所は少なくと
も理事会にて合意されなければ修理できません
つまり管理費等を使用できないのです。
一戸建てだったら各所有者の貯金から修繕費を
直ぐ捻出します。住戸を守るための月極支出で
ありながら自由に使用できないお金(預金)が
マンション管理費等であり、組合合有財産なの
ですが、これに不便さを感じることが少なくあ
りません。

次回に続く 

長野県マンション管理士会  玉木 憲