平成3年と12年に排水管漏水・平成18年に給湯器の
給水管漏水により下階を汚損した被害で判例があ
ります。
何れも枝管からの漏水でありながら共用部扱いで、
管理組合が被害の補償をしています。
規約で床下の枝管は個人の所有物とあっても、
訴訟により枝管も共用部扱いとなる可能性がある
のです。
被害箇所につき、このような事故では以下の対応
となります。
①マンション保険での対応
②個人(加害者・被害者)の火災保険での対応
③加害者が支払う
④管理組合が支払う
そして、
※①では施設賠償保険に入っていれば被害額が
ほぼ補償される。
※②では個人賠償保険に入っていれば被害額が
ほぼ補償される。
※③訴訟すれば(判例により)払わなくてよく
なる。
※④訴訟されれば(判例により)払う事になる。
(管理費支出)
又、破損した管の修繕費用については、
※①②の保険で修繕費用は補償されない
(経年劣化は対象とならない)
※③訴訟すれば(判例により)払わなくてよい。
※④訴訟されれば(判例により)払う事になる。
(管理費支出)
※全て過失が無い場合。
保険については、ある程度竣工から年数が経過
した物件は施設賠償・個人賠償ともに付保して
いるものと思われますが、保険内容はそれぞれ
違いがあり、結果も当然それらに準じます。
問題は③④のケースですが、実際に訴訟しなく
ても《判例を知っているか否か》で結果が変わる
可能性があるという事です。
以前、上階の漏水で下階を汚損した事故のとき、
下階被害住戸単独加入の火災保険会社担当者から、
「判例がどうあれ規約通り専有部扱いでは?」
※つまり加害住戸の住人が支払うべき※と言われ
ましたが、マンション保険で被害箇所の一部補償
・管理費で破損箇所の修繕をしました。
マンション保険の担当者には判例文をみせて説明し、
理事会では同じく判例に基づいて話合いをして頂き
ました。ここで言いたいのは、判例を知っていれば
得か損かという事ではなく、
管理組合がいかなる対応をすればよいのか?です。
次回へつづく。
長野県マンション管理士会 玉木 憲